早坂社長の声~ネパール視察

早坂社長に聞く、
ネパール視察について。

Voice of Exective president

『労働力の国際化』の
一翼を担う。
日本経済の活性化に貢献できる
会社に。

早坂 泰山
 TAIZAN HAYASAKA
 取締役社長
 2004年7月入社

ネパール視察の
経緯について。

早坂タカコーは外国人スタッフも積極的に採用をしており、現在、ネパール人スタッフの方も多く在籍をしています。また、弊社だけでなくタカコーが運営に携わっている『ジョブサポート協同組合』でも20名を超えるネパール人の技能実習生を受入れています。

ネパール人スタッフ達は、企業様から作業面だけでなく人間関係の面でも高い評価を頂いています。私はネパール人をより深く理解したいと思うようになり、今回、視察のためにネパールを訪問する事にしました。

小山本社からネパールまで。

今回のネパール出張で一番大変だと思ったのは「移動」でした。まずは日本を出国してからネパールのホテルに着くまでの時間ですが、栃木県小山市の本社を朝の5:00に出発して、成田空港から香港経由でネパールの首都カトマンズの空港に着いたのが日本時間の2:00(ネパール時間で22:45)でした。実に21時間掛かりました。

そして空港でビザ取得の手続きをして、空港からホテルに着いたのが日本時間の3:30でしたので、ほぼ24時間近く掛かりました。

現在、日本からネパールへの直行便がないためこのような長時間移動になってしまうのです。ただ、経由地は香港以外にもあるため、探せばもう少し短い時間で行くことも可能のようです。

最初の目的地、ポカラへ。

到着して4時間ほど眠った後、早速最初の目的地であるポカラという街へ移動しました。ポカラは、観光地として有名な首都カトマンズから西に約200Km離れた場所にあります。

車での移動でしたが、日本との道路の違いに驚きました。日本であれば高速道路を使って3時間程度で着く距離ですが、ネパールはとにかく道路事情が悪く、舗装されてはいても道にたくさんの穴が開いているデコボコ道で、スピードが出せません。結果、ポカラに着くまでに6時間ほど掛かりました。

ネパールの道路事情でもう一つ驚く事がありました。それは「信号が一つも無い」のです。首都の主要道路にもありません。そのため、交差点ではクラクションを鳴らしながら、互いに譲りあいながらぶつからないようにして渡っていきます。実際、ネパールにいた5日間に自動車の接触事故は一度も見ませんでした。

なぜ信号が無いのか運転手の人に聞いてみたら、昔は日本政府の援助もあり信号のある道路もあったそうですが、停電が頻繁で信号が点かなかったり、守らない人も多かったりという状態で、それでいつの間にか信号は無くなったそうです。

今回は車での移動時間が非常に長かったので、その道中、運転手から他にも色々な話を聞くことができました。

ネパールは、国としては貧しく公共インフラの整備などもなかなか進まない状況ですが、意外なことにお金を持っている国民は多いというのです。それでは月給が良いのかな? と思い聞いてみると、日本円で月給1万円~2万円の人が大勢いると言います。途中で飲み物を買いましたが、日本円で30円ほどでした。物価は日本の1/5程度(場所によって大きく変わる)だと思うので、月給1万~2万円では決して贅沢な生活はできません。

ではなぜそんなにお金を持っているのかと尋ねたら、多くの人が出稼ぎとして外国で働いており、その仕送りの現金を持っているというのです。ネパールの人口は約3,000万人ですが、現在、出稼ぎのために毎日約100人もの人が出国しているというのです。これが何十年も前から続いているのであれば、相当な数のネパール人が外国で働き母国に送金をしていると思われます。

ちなみに、日本でも多くのネパール人が働いていますが、どうやら中東などの方により多くのネパール人が働きに行っているようです。

ポカラにて。

話を色々と聞いていたらあっという間に時間が過ぎ、無事ポカラに到着しました。

ポカラは多くの美しい湖沼群と8,000m級のヒマラヤ山脈の雄大な姿が堪能できる事で有名な街で、いたるところに外国人観光客がいます。アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界中から来ています。もちろん日本人もたくさんいました。ネパールの一番の収入源は観光なので、街の治安なども問題はなさそうです。

他の東南アジアの国々もそうですが、ネパールも時間の流れがゆっくりしていて、普段ハイスピードの中で働いている私としては、逆に慣れるのに苦労しそうな感じでした。

工学系大学の視察。

ポカラに泊まった翌日、チトワンという街に移動しました。この街にはジャングルを保護する目的で設置された自然保護公園、チトワン国立公園があり、ポカラと同様に観光で有名な街です。

実は、今回のネパール訪問の一番の目的地はこのチトワンでした。この街には工学系の大学もあり、そこを訪問をしてネパールの工学系大学生の学力レベル、将来の夢、就職状況などを教えて頂きました。

ネパールは発展途上国ですから、大学とはいえ先進国とは学力レベルに差があるのではと正直不安もありました。しかし、学生達が見せてくれた自作ロボットや遠隔操作で家電を操作する技術を見せて頂いた時は大変驚きました。そのロボットも家電もスマートフォン用のアプリを自分達で開発し、操作できるようにしているのです。

これほど優秀な学生達でも、ネパール国内で技術系の仕事に就職できるのは僅か3割程度だと聞きました。残りの7割の学生達は主に中国や中東などの海外で技術系の仕事に就くか、もしくは全くの異業種に就くというのです。

このように、世界規模で見てみると日本のように技術系の人材不足で困っている国もあれば、ネパールのように技術系の人材の就職先がなく困っている国もあるのです。

ネパール視察を終えて。

私は今回のネパール視察の中で、今の日本の労働力不足の問題の解決の「1つの方法」として、海外の優秀な人材の獲得、活用を更に推進し、労働力の国際化を進めるのは良い手段だと思いました。

日本には既に優秀な入国管理局という組織が存在し、出入国を管理するシステムがあります。在留ビザを与える条件と期間を緩和し、日本企業の更なる外国人労働者の活用を推進する事で、昨今の労働力不足の解消だけでなく、経済の活性化、日本企業の国際化などにも繋がるのではと思いました。